地方IT企業の挑戦 ― 外国人エンジニア採用で得た気づき

地方IT企業の挑戦 ― 外国人エンジニア採用で得た気づき

株式会社エイシステムデザイン
代表取締役
佐藤 英世さん

株式会社エイシステムデザイン
システムエンジニア(技人国)
レー トゥアン ロンさん
まず、御社の事業概要を教えてください。
佐藤さん
2007年に創業し、長らく大手グループの協力会社として業務システムの設計・開発を手がけてきました。
コロナ期以降は「自社の強み」をつくるために自社開発を強化し、これまで培った業務システムのノウハウを生かしたサービス提供をしております。
外国人雇用に踏み切ったきっかけを教えてください。
佐藤さん
近年は若手採用が難しく、当社のような小規模企業は人材確保に苦労していました。そんな中、ハローワーク経由でベトナム出身の応募者(ロンさん)と出会いました。
職歴や採用試験の結果が優秀で、日本語での意思疎通も問題ありませんでした。
国籍ではなく、目の前の「人」として信頼できると感じ、採用を決めました。

外国人材を受入れる際の課題はありましたか?
佐藤さん
在留資格や就労可能な職種の制限、入管手続きの時間などはやはりハードルです。
ただ今回は、本人が書類準備や入管対応を主体的に進めてくれました。
受入れにあたり専門家へ相談もしましたが、何より本人がこちら任せではなく、自分で調べて動いてくれた点はとても信頼につながりました。
外国人材の受入れや育成で意識したことはありますか?
佐藤さん
日本人同士の「空気を読む」や「あうんの呼吸」に頼らず、やってほしいことを明確に言語化して伝えることです。文化や背景が違う前提で、互いに主張し合いながらコミュニケーションを重ねることが大切だと考えます。
ロンさんは自分の意見をしっかり伝えてくれるので、そこが良い循環になっています。

最後に、これから外国人採用に踏み出す企業へのアドバイスはありますか?
佐藤さん
まずは一歩踏み出してみること。
国籍に関係なく「人」として向き合い、対話を通じて信頼関係を築くことが大事です。
むしろ採用する側が、日本人と外国人それぞれの特性に気づかされ、学びを得られると実感しています。
続いてロンさんに質問をさせていただきます。日本に来て何年目ですか?
ロンさん
今は8年目です。
来日前はどのようなご経歴でしたか?
ロンさん
高校卒業後、ベトナムの大学でITを専攻していましたが、個人的な事情で中退しました。
最初は技能実習生として来日しましたが、ITの道を諦めず、仕事をしながら毎晩学習を続け、
エンジニアとしての道に戻りました。
日本に来たとき、驚いたことや苦労したことはありますか?
ロンさん
一番は日本語、特に敬語が難しかったです。
また、仕事と勉強の両立も大変でした。でも、エンジニアとして活躍するために絶対にやり遂げたいという気持ちで頑張りました。
日本語はどうやって勉強していましたか?
ロンさん
将来エンジニアとして必要なスキルを考え、教科書で勉強したり、日本のスポーツ・飲み会などのコミュニティにも参加して、日本語でコミュニケーションをとることを意識しました。
現在の仕事(エンジニア業務)について教えてください。
ロンさん
Webアプリ、モバイルアプリの開発を担当しています。
お客様へのヒアリング、設計、開発、テストまで一通り行っています。
日々多くの経験ができており充実した毎日を過ごせています。

長野県に住んでみてどうですか?
ロンさん
空気が良く、住みやすいと思います。過去に他のエリアに住んだ経験もあり、雪には慣れていました。
長野は平均寿命が長いという話も聞いたことがあり、健康に良い環境だと思います。
日本のイメージは来日後に変わりましたか?
ロンさん
事前に日本のことをよく調べていたので、大きく違う点はありませんでした。
自分の性格的にも日本の文化に馴染みやすかったです。
休みの日はどんな過ごし方をしていますか?
ロンさん
友達とコーヒーを飲みに出かけたり、バドミントンをしたりしています。ベトナム料理も日本料理も好きです。
最近では、会社のメンバーを自宅に招待しベトナム料理をふるまう機会もありました(笑)
ベトナムの仲間とはどうやって知り合いますか?
ロンさん
SNS、スーパーでの出会い、バドミントングループの募集などですね。
自分から動けば、友達は作りやすい環境だと思います。
最後に将来の目標を教えてください。
ロンさん
エンジニアとして経験を積み、将来的にはプロジェクトリーダーを目指しています。
なるべく日本に長くいたいと考えており、日本とベトナムの架け橋になるような存在になっていきたいです。
以上でインタビュー終了となります。貴重なお話をありがとうございました。